「ミッシング・ピース 東京展」をもうご覧になった方は思い出してください。
法王さまの「靴」がアクリルケースに入れて展示されていましたよね。
これです。
Sylvie Fleury / シルビー・フルーリというスイスに住むフランス人女性の作品です。
The Missing Peace の生みの親ともいうべき、
Darlene Marcovich から、
きのう、この作品についての興味深いできごとを聞きました。
ダライラマ法王の放つ「オーラ」を作品にしたいと考えたシルビーは「キルリアン写真」という独特な技術で表現しました。
法王のお履きになった靴そのものを手に入れ、
それを「キルリアン写真」にしたのです。
「靴」のまわりから輝く「気」,「オーラ」が白っぽく放射状に放出しているかのようです。
この作品の「出来あがり」についてお聞きになった、
法王はこう仰ったそうです。
「その靴は何度も靴底を張り替えて履いていたから、
オーラなんてないんじゃないか...(笑い)。
もし、あるとしたら、それは、靴を修理した職人のものでしょう.....(笑い)」
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ここまでのことはカタログにも載せています。
ここから、後日談です。
Darlene Marcovich / ダーレーン・マルコビッチがたのしそうに語ります。
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初めての開催地、Los Angels でこの作品を見たという男性から連絡が入りました。
「あの輝く革靴の作品がほしい」
「どうしたら手に入りますか?」
..........................................
よくよく聞いてみると、
その男性はあの靴、
「Dexter 」社の創業者の息子だというのです。
Dexterは「since 1957」という革靴の老舗ブランド。
http://www.dextershoe.com/
ボーリング・シューズでも有名です。
一代にして大成功したMr. Dexter は92歳。
人生の最後に、ガン専門病院を作り、市に、寄贈する計画でした。
そのオープニング・レセプションをMr. Dexterのお誕生日にすることにした親孝行な息子さんは、
あの「輝く靴」としてアート展に飾られたあの一枚を、
サプライズとしてプレゼントしたいと考えたのでした。
長い話しを聞いて意気に感じたダーレーンは、
すぐに、
スイスのシルビー・フルーリに連絡。
聞いたシルビーは悩みます。
あの作品はあれひとつだし、
キルリアン写真にしたのはParis に住む老職人。
その人にしか作れないのです。
が、これまた、意気に感じたシルビーはすぐさまParis に飛び、
老職人とダライラマの噂話しなどしながら、「もう一枚」を作り上げました。
「 Easy Spirit 」_おおらかな心、と題されたこの作品は世界を飛んでいきます。
病院のオープニング・セレモニー、Mr. Dexterのお誕生日の当日。
このプレゼントを贈る息子さんはどんなにうれしかったことでしょう。
息子からこのプレゼントを受け取ったMr. Dexter もどんなにうれしかったことでしょう。
Mr. Dexter は、
この夜、
亡くなったそうです。
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さらに、おまけ。
シルビーからこの作品が届きどう展示するか探っていた時期に、
法王さまが履いていらしたこの靴そのものがあった方がよりよいと判断して、
インド・ダラムサラの法王事務所に要請。
こころよく寄贈してくださることとなった「法王の革靴」は
厳重にパッケージされて
The Missing Peace の創立者のおひとり、
Tenzin N. Tethon 氏のご自宅に届けられました。
厳重な梱包をといて現れた法王さまの革靴をテトン氏は、家にあった、
大学生のお嬢さんの紙製シューズボックスに入れてオフィスに行きました。
そのボックスには、
カリフォルニアで若いお嬢さんに人気のカジュアル・シューズ・ブランドの名前、
「 Easy Spirit 」のロゴがありました。
オフィスについてダーレーン達スタッフとボックスを開けた、
その時、
ダーレーンが思わず意気を呑み、
「...............................................」
絶句。
ダーレーンが指さしているのは、
シューズ・ボックスに印刷されているロゴ、
「 Easy Spirit 」。
だって、
Sylvie Fleury / シルビー・フルーリがこの作品につけたタイトルが、
「 Easy Spirit 」だったのです。
すべて、
事実、
です。